« 第7回 カンガス・デ・オニス | メイン | 第9回 ラ・パルマ »

第8回 プラセンシア

はろはろ〜!みなさんこんにちは〜!「パラドール紀行」の“よっぴ”です。
今回紹介するのは2000年2月にオープンした、エクストレマドゥーラ地方を南北につらぬく縦断ルート「銀の道」にあり、見事なカテドラルと中世の街並を残している街プラセンシアのパラドールです。
 銀の道 (Ruta de la Plata)とはローマ時代にその起源をおき、紀元前より商人や鉱夫、牛追い、そして軍人たちが歩いたヒホンからセビーヤにいたる道を指します。
今日は国道N-630に沿って延びているこの道は、美しい景観と沿道の魅力ある町々を堪能しながら歴史の流れに身をゆだねて歩く旅の道です。
かつて、「銀の道」は、古代ローマ人がスペイン北部のカンタブリア山脈で産出する「金」や「銀」を運び、歴史を刻んできた道であり、カルタゴ人、ローマ人、アラビア人等がスペインを南北に移動する縦断ルートとして、カンタブリアの山々から陸路をレオンの街へ、さらにサラマンカ、カセレス、メリダ、セビージャを経て、セビージャから船でグアダルキビル川を下り、海路大西洋からジブラルタル海峡を経て、地中海からローマへと至るコースでした。
そのため「銀の道」には歴史的重要文化遺産都市や歴史・美術保存指定区域が連なり、それはまるで歴史遺産のための広大な野外博物館と言えるほどなのです。
この道は、どちらかと言えば「サンティアゴ巡礼の道」と比べるとマイナーな、知名度の低い道ですが「サンティアゴ巡礼の道」が近年スポーツ化されたのと比べ「銀の道」は中世歴史の旅に浸る道として根強い人気があります。
また、この「銀の道」はレオン、アストルガの街で「サンティアゴ巡礼の道」と交わり、聖地サンチアゴ・デ・コンポステーラへ至る巡礼路にもなっています。

第8回「Plasencia」

マドリッドの南西、ポルトガルと国境を接する地方エストレマドゥーラ、殺伐とした風景、痩せた土地に貧しい暮らし、若者は必然的に出稼ぎ出たり、土地を離れる者が多かったようです。(かつての東北や北陸のように過疎化が進む地方なのです。) しかし、大航海時代には多くの者が大陸に渡り、この地に富をもたらし繁栄しました。 そんな町の一つ、ヘルテ川に囲まれた台地にある町がプラセンシアです。
15世紀に造られたドミニコ会の修道院だったもの(1990年迄使われていた)が改装されてパラドールとなりました。 かなりの部分がオリジナルで残っていて、それを中世の荘厳な家具、また現代的装飾と上手くマッチさせ修道院の雰囲気をしゃれた形で残しているパラドールと言えます。
見事な木製の天井にゴシックの荘厳な礼拝堂を始めとする数々のサロン、
現在レストランとなっているRefexcutorio(修道院の食堂)に残されているタラベラ焼きのタイル装飾、そして壁沿いの椅子は実際に修道士達が坐っていたものをそのまま残してあり、少し高くて坐りにくいのですが修道士気分で食事ができかもしれません。




上の階にはBiblioteca(図書館)をやはりサロンとして使っています。 修道院時代の名前がそのまま部屋に付けられており(Biblioteca,Sala Capitular,Refercutrio、etc)客室はCelda(独房、修道士の個室)と書かれています。
このパラドールのOPENのときには、通商観光庁長官が「パラドールの中でも最高のランクに属するスペイン人が求めていたハイレベルな本当の質の良さを追求したホテル、そして単なるパラドール以上の存在と」絶賛したと言われています。
自動ドアの付いた地下駐車場など最新の設備を持ちながら全く現代を感じさせない本当に旅の快適さを満喫できるパラドールでしょう。
プラセンシアの旧市街のほぼ中心地にあって、周囲には歴史的建造物で溢れています。
特に大聖堂は13〜14世紀に建てられたロマネスク・ゴシック様式の旧大聖堂と新しい大聖堂の二つの建物で構成されているのが見所です。
旧市街は柱廊に囲まれたマヨール広場を中心として歴史的建物が軒を連ねています。
パラドールから歩いて10分程度、食後にライトアップされた中世の世界の散歩をぜひ、お勧めしたいと思います。


☆ スペイン時間

スペイン時間と言うと2つの意味を持っていると思う。
一つ目は、スペイン人は時間にルーズだ、時間を守らないということだろう。
それは「少々の時間のずれには無頓着である」、ということなのかもしれません。
確かに分刻みに正確に運行される交通機関などに慣れている日本人にとっては時間の遅れは気になることかもしれない。
近年、スペインの交通機関も正確に運行されるようになったし、スペインの誇る新幹線AVEなどは遅れるどころか5分くらい早く到着することも希ではない??
確かにスペイン人が待ち合わせの時間に遅れることは多いのだが(笑)、時間にルーズというのは個人差もあることだから此処ではチョット置いといて、もう一つのスペイン時間について考えてみたいと思います。

それは日本との「時刻感覚」のズレということなのです。
一般にスペインのレストランがオープンするのは夜の8時半、遅いところでは9時だろう。これはパラドールでも一緒です。
しかも混雑するのは10時過ぎ、12時を過ぎても食後の歓談に花を咲かせているのもごく普通のことです。 
昼食の時間は2時、3時からだし、映画館がオープンするのも午後4時過ぎからです。
この日本人との時刻のズレは多分2,3時間位あるのではないでしょうか。

日本人観光客の大半はレストランの開店を待って食事を取り、10時には就寝してしまうというパターンがホトンドでしょう。
確かにツァーの場合は忙しいし朝の出発も早いので夜をゆっくりと言うわけにもいかないのでしょうが…。
もちろん、治安の悪いマドリッドやバロセロナを夜遅くガイドも無しにふらふら出歩くことをお勧めしませんが、パラドールの旅は別なのです。
食後のひととき、町中をブラブラと散歩したり、バルで一杯引っかけたりしてスペインの夜長を楽しんでは如何でしょうか?
夏のスペインでは10時を過ぎでもまだかなり明るくて、子供でも11時頃まで外で遊んでいたりするのもけっして珍しくはありません。

マドリッドの位置を地図で見てみるとロンドンよりも西にあることがわかるでしょう。 つまり実際はロンドンよりも時差とすれば遅いのに他のヨーロッパ大陸の国、フランスや ドイツと同じ標準時を採っていてロンドンよりも1時間早く時間が経つのです。 こうなるとスペイン人は夜更かしをしたいためにわざと時差をずらしているのではないかと思ってしまいます。 町の中心マヨール広場のバルに入って、ライトアップされたカテドラルやパラドールを見ながら一杯やれば、またひと味違ったスペインの旅が楽しめると思うのですが…。

by“よっぴ”