« 2012年05月 | メイン | 2012年07月 »

2012年06月29日

第10回 ビラルバ

はろはろ〜!こんにちは〜、“よっぴ”の「パラドール紀行」です。
今日はスペインで最も小さく予約の取れないパラドールとされていましたが、2000年に増築されたことで泊まり易くなったビラルバのパラドールを紹介いたしましょう。
この文化遺産である旧建物を共有スペースとして利用し、より多くの観光客を満足させるという手法は、このビラルバのパラドールの営業はもちろん、他のパラドールのこれからの営業にも大きな影響を与えることでしょう。

第10回Vilalba
名称Parador“Conde de Vilalba

ビラルバのパラドールはイベリア半島の西北ガリシア地方の城壁の町ルゴから36km、ア・コルーニャから86kmに位置し、ビラルバの町中にあるアンドラ家の古城(と言っても塔の部分しか残っていなかったのですが、)の素晴らしい八角形のロス・アンドラデの塔を中心に改装され、1967年パラドールとしてオープンしました。 かつては塔の部分のみで営業しており、その当時の客室は僅か6室しか無く、パラドールでもっとも小さな規模のものでしたが、塔に隣接して2000年に客室42室をもつ新館が造られ、これをガラス張りの廊下でつなぎ両者を上手くミックスさせることで全く違和感のない素晴らしいパラドールに生まれ変わりました。

塔の部分は以前のまま各階2室ずつ計6室と共有スペースとして中世の雰囲気を残すサロンを残し、塔の部分と一体化させた新館の客室は中世の雰囲気を残しながら明るくゆったりとしたものとして、いずれもエレガントに装飾され申し分のない部屋です。
旧い塔の中の客室か新しい部屋にするかは選択に迷うことでしょう。

塔の建物の中は地下室をコンベンションホールとして会議などに使い、1,2階は吹き抜けで、石造りの壁と黒光りする木材に飾られた素晴らしいサロンとして使われています。


  

塔内の三階から五階にかけて各二部屋ずつ配置されていますが、いずれの部屋もスウィートタイプの広々とした重厚な石壁で囲まれ、中世の雰囲気がたっぷり漂っています。
塔の内部は外から見るよりもはるかに広くてエレベータまで設置されています。 塔の屋上に上がれば遮る建物も無く、ビラルバの町が眼下に広がっているのが臨めるでしょう。
また、夜には窓から望むビラルバの塔がライトアップされてとても素晴らしい。 (当然ながら、このライトアップされた塔を眺められるのは新館のみです。)
もちろん、サロンやレストランはどちらに泊まっても利用できます。

このパラドールは町中にあるために敷地にゆとりが無いため駐車場も地下に設置されています。
以前の6室しかないときでも、客室定員12名に対して従業員は20名近くおり、いくら国営企業と言えども採算のとれる施設ではなかったでしょう。
ほとんどの観光客は泊まるのを最初からあきらめていたのですが、今回の増築によって、より多くの人々にビラルバのパラドールでの楽しみを提供出来ることになったのです。
たとえ泊まるのが増築された新館だとしても、そこから眺める中世の塔と、500年前のサロンで過ごすひとときは忘れ得ぬ旅の思い出となるに違いありません。
このようにパラドールは新装、改装を重ねてより多くの人に、より快適に、自然や人類の遺産を楽しみながら保存する工夫をしているのはとても素晴らしいことだと思います。
設備が整ったことでこのパラドールも3つ☆から4つ☆に格上げされています。


☆ バル

スペイン人にとって欠かせない必須のモノであり、加えてスペイン旅行にもっと利用したいと思える施設にバルがあげられるでしょう。
バル(英語でバー)という名前からしてビールやワインを飲んだり、せいぜいコーヒーを飲むところだと考えられやすいのですが、このバルとは単にコーヒーを飲んだりビールでのどの渇きを癒す場所というだけではないのです。
バルはスペインのどんなに小さな村にもあって、一年中、休みもほとんどなく、朝から夜中の2時頃まで開いているスペインのコンビニエンスストアと言っていい場所なのです。
観光地なら地元のお土産物やミュージックCDを売っているし、サッカーくじの受付もしています。
トイレに行きたいとき、電話をかけたいとき、ペットボトルの水が欲しいときはモチロン、
疲れたときの休憩に飲み物を飲むだけでなく、ちょっとしたレストランの代わりにもなるのです。 毎日、毎日、レストランでチャンとした料理を頼まなくてもタパスと呼ばれる小皿料理を何品か取り、付いてきたパンと飲み物で食事が摂れてしまうのです。

スペインオムレツを始め、烏賊のリング揚げ、烏賊の墨煮、茹でた海老、芝海老のニンニク炒め、イワシの酢漬け、シシカバブ、ムール貝、エスカルゴ、モツ煮など、何処のバルでも自慢のタパスを20品ほど用意しています。
もちろん、スペインの生ハムとチーズを挟んだサンドウィッチ、ボカディージョを買って
公園や町中を歩きながら食べるのも気持ちのイイものです。
昼間はカウンターやテーブルでタパスをつまみながら飲み物を飲んだり、パンをかじったりしているバルでも、夜に外国人が食事用に色々な料理を頼むと、気を利かせて、紙で出来たテーブルセンターを敷いてくれたりします。

通常は、昼は喫茶店、夜は酒場として町のおじさん達のたまり場になっていたりするのですが、ときどき夜のサッカー観戦場となったりもします。
特に好カードの試合のときには家族中でバルに出かけるのも珍しくありません。
これは家庭のテレビよりも大きな画面で見たいからもありますが、サッカー中継が衛星テレビであったり、衛星のペイテレビであったりして、家庭の一般放送では見ることが出来ないからなのです。
バロセロナFCとレアル・マドリッドのクラシコなど、人気の高いゲームは10€もするそうで、ロードショウの映画ですら7€位ですし、10€もあれば二人位の飲み代になってしまいそうです。 もっとも、こんな時には店も超満員、椅子に座りきれないで皆立って観戦しているし、試合が始まれば、店主やコックも注文などそっちのけでテレビに釘付けです。
見知らぬ町のバルで、一緒になって地元のチームでも応援すれば、もう気分はアミーゴでしょう。

by“よっぴ”

2012年06月28日

第9回 ラ・パルマ

はろはろ!こんにちは〜!“よっぴ”の「パラドール紀行」です。
今日紹介するのは、歴史的建造物を利用したパラドールでなくて新しいリゾートタイプのパラドールです。
それはアフリカ大陸、モロッコ沖合いに位置するカナリア諸島の一つ、ラ・パルマにあるパラドールです。
ラ・パルマ島の飛行場には島間をつなぐ小さな飛行機の他、マドリッドからも直行便が約1時間半で飛んでいます。もしも貴方が、預入荷物がなくて、手荷物だけを持って航空機に塔乗するときにはチェックインの必要はありません、航空券がそのまま搭乗券になります。
何せ、マドリッドの空港のチェックインカウンターはいつも長蛇の列ですからね…。

第9回Santa Cruz de la Palma
名称Parador”Santa Cruz de la Palma”

サンタクルスの町を見下ろす高台の上にあるパラドールは空港からもフェリー乗り場のサンタクルス港からもタクシーで約10分、10€位で到着します。

この建物は1999年5月にオープンしたパラドールなのですが、パルマで初のパラドールと言うわけではないのです。 ット言うのは以前のパラドールはフェリー乗り場の近くに1950年に建てられたものがあったのですが、手狭になったことと老朽化が進んだため、町の中心にあったパラドールを町に提供して、高台にある25万平米の土地と交換されたのです。 50年に建てられたこれまでのパラドールは修理されて、これから町の役場として利用されるということです。 このパラドールの広大な庭を通してゴメラ島やテネリフェ島、イエロー島が見渡すことができます。

ただ、年に数回、天気は良いのだけど、もやがかかった状態の日が数日から1週間くらい続くことがあります。
これは「カリマ」と呼ばれる現象でアフリカ大陸のサハラ砂漠の細かい塵が風に乗って飛んできてただようために起こるのです。
その時には、やはりここカナリア諸島はアフリカ沖にあることが実感させられます。


パルマ島はカナリア諸島7つのうちで5番目の広さを持つ比較的小さな島なのですが、国立公園に指定され、太陽と水に恵まれ、農業、漁業も盛んで何とワイン工場まであります。
風光明媚な上に町には歴史地区もあり、ハイキング、釣り、海水浴(なんと、ヌーディストビーチが2カ所あります)と島内はびっくりするほど見所が多いのですが、島全体で観光客のためのベッド数は4000しかないということです。

この新築に伴って部屋数も38から78部屋に倍増されました。 このパラドールには1200万€もの費用がかかっていて部屋数で単純に割ると一部屋あたり当時のレートで2000万円以上にもなるようです。 マドリッドでも2000万円あればそこそこのマンションが買えてしまいますから、この数字は大変なものです、採算を重視する民間企業では、こうは行かないでしょう。
部屋は広々としていて柔らかな緑を基調とした明るくシックな雰囲気に包まれていて高級リゾートホテルそのものですが、同時に庭やサロンにパラドール特有の気品と風格も備えています。


サンタクルスの町のレアル通り、郵便局から役場までの歴史地区にはバルコンと呼ばれる ポルトガル、オランダ、アイルランドの商人たちが15世紀に作った町並みが現在も保存されていて散歩には絶好の場所があります。 大航海時代に中南米交易の最後の中継地として栄えたのが忍ばれるこの地区の建物には、当時住んでいた人々の名前が記されており、今でもこの町にはオランダやポルトガル、アイルランドの姓が多いということです。
この歴史地区を抜けた広場にはコロンブスのサンタ・マリア号のレプリカが飾られています。
他にも、火山の噴火口にはヨーロッパ中の天文台が集まるロケ・デ・ロス・ムチャチョス、緑豊かな自然と美しい海、とても1日では廻りきることはできません。
と言うよりも1週間居ても飽きることがないでしょう。
この島ではタクシーを1日チャーターしてまわることをお勧めします。
タクシー料金はユーロになってから随分上がったようですが、パラドールで頼んでも、1日5,6時間の貸し切りで150€位です。
ホトンド英語は通じませんが見所には必ず連れて行ってくれて写真を撮ってくれるでしょう。4人で乗れば本当に安い乗り物です。


☆パルマにて…。

タクシーの運転手が言った言葉に「このパルマの島には大金持ちは居ないけど貧乏人も居ない」、ナント素敵な言葉ではないか。
豊かな太陽と水に恵まれ農業ではブドウ、バナナ、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、の果物と葉巻タバコの生産、漁業もさかんで島民は皆のんびり、ゆったりと暮らしているのだろう。

大きなバナナの房を袋詰めにして車に積み上げているのが面白いのでしばらく見ていたら側にいた作業員が、20本ほどのバナナが付いた房を左右の手に持って差しだして食べろと言う、じゃあひとつご馳走になるか!ット1本もぎ取ろうとしたら、これを全部もって行けと両手にどど〜んと持たせてくれた。 また、そのバナナの味も町で買った物よりも数倍美味い。 あまり美味いので、マドリッドの友人のオフィスに少し買って行こうと思い、少し分けてくれと頼んだら先ほどのよりも少し若い青みがかったバナナを50本ほど選んでよこしたのだが、金を受け取らない。

普通は収穫してから10日程待ち十分に熟してから店頭に並ぶのだそうだから、くれたバナナはもう十分に食べ頃だったので販売には適してなかったのだろう。 が、それにしても鷹揚なものだ。

島の西、Puerut Naoでは崖下の砂浜にヌーディスト達が大勢甲羅干しやビーチバレーで遊んでいるし、島の所々の海岸では大きな岩を利用した大きな天然の海水プールが何カ所もあって子供達と一緒に遊ぶのもイイだろう。
島の南には1971年に噴火したTeneguia山があり、ラクダに乗っての散歩が楽しめる。
EU各国の様々な形をした天文台を見て回るのも楽しい。
もちろん、歩くのが好きなひとならトレッキングコースもたくさんある。

ワイン工場ではもちろん見学させてくれるしワインの試飲もある。

ここのワインはほとんどカナリア諸島で消費されて本土で飲まれることは無いらしいので独特なカナリアワインが気に入ったらお土産にしてもよいのだが、この工場では送ることは出来ないと言う、自分で町まで持って行って郵便局から送ればヨイと言う。
あまりの商売ッ気がないので、面倒だし買うのを止めようかと思っていたら、タクシーの運転手が郵便局まで持っていって送ってやるという。
本当に親切な人たちばかりの島だった。


☆ 乗り物

スペイン国内の移動手段とすれば、航空機、鉄道、バス、レンタカー、タクシーが考えられますが、長距離には航空機、中距離には鉄道、比較的短い距離にバスやタクシーなどの他の交通機関を使うと考えるのが普通だと思います。

スペインの鉄道と言えば遅れるという印象が強いかもしれないが実際遅れることはあまりありません。
1992年、セビリア万博を機に開通したスペインご自慢の新幹線AVEはほとんど遅れない、と言うよりも5分くらい前に到着するのも希ではないのです。
鉄道の旅の良さは何と言っても、情緒があって、ゆったりと外の景色を楽しむことができることでしょう。
特にスペインの荒涼とした景色を眺めるのに鉄道の旅ほど優雅で素敵な旅はないでしょう。スペインの鉄道はRENFEと呼ばれる国鉄がほとんどだが旅行者にはとても快適に作られています。
座席も広く旅行者用の専用荷物置き場も備えられていて大型のトランクも邪魔にならないのがうれしい、これはAVEも同じです。
どこかの国の列車みたいに3列シートに客を詰め込んで荷物の置き場もろくにない、そのくせ料金ばかり高い鉄道とは大違いだ。
AVEの1等車では飛行機のように時間帯によって食事がでてリッチな気分にさせられます。

近距離の切符は大きな駅では自動販売機で買うことになりますが、スペインでは表示を押していって最後に料金をいれるようになっていますが、シーズン割引、往復割引、日帰り割引、家族割引など料金設定が複雑で切符一枚買うのもこれが案外と難しいのです。
マドリッドのアトーチャ駅でトレド行きの切符を買おうとして自動販売機の前に立ちました。トレド行きまでは分かりましたが、そのあとの表示が良く分からないのです、出発時刻は迫ってくるし、ついに通りがかりの学生に助けを求めた経験があります。
日本みたいに列車の本数は多くないので、一本列車に乗り遅れると半日行動出来なくなることもあるのですから。

長距離切符は大きな駅では銀行みたいに整理券をもらって、予約番号が表示されたら予約窓口に行きます。これも当日券と前売りがあるから間違えないように。
行き先、日時などは紙に書いていったほうが良いでしょう。
行き先はともかく、ほとんど英語は通じないと思っていた方が良いでしょう。

旅行のスケジュールが決まっているのなら最初から旅行代理店を通じて切符は手配しておいたほうが安心です。
混雑期に列車の切符を入手するのは思ったよりも大変で時間もかかりますし、日にちの限られた旅行者が切符を手に入れるために半日も駅で時間を潰すのはいかにも勿体ないでしょう。
長距離バスは町のバスセンターから発着していますが、安価で割と本数も多く、大型で荷物の心配もないし利用しやすい乗り物です。

パラドールの旅で最も便利な乗り物と言えばやはりレンタカーでしょう。
大都市は必ず高速道路で結ばれているし、国道、地方道ともほとんど舗装されています。
高速道路は120km、国道で100km、一般道で80kmの制限速度だ、高速道路と名が付いていながらほとんど80km制限のどこかの国とは大違いです。
そんな道路がスペイン全土をマスクメロンの編み目のように張り巡らされているのです。
また、大都市の朝晩を除いてほとんど渋滞というモノが無いのだから移動時間がもの凄く早くて、500kmくらいの距離(東京から京都まで)なら日帰りをしてしまう人も希ではありません。しかも、いくつかは有料区間もありますが、ほとんどの高速道路は無料なのが嬉しいですね。

しかしボクは敢えてレンタカーを利用しない旅をお勧めします。
モチロン、貴方が左ハンドル、右側通行なんてぜ〜んぜんヘッチャラ、スペイン語にも堪能で交通標識も読めるって言うのならレンタカーの利用もいいでしょう。
つまり、その位の条件が整っていなければ運転は止めておいた方がいいと思います。
それに運転は上手でも観光地の旧市街は小さくて曲がりくねった道が多く、駐車している車で何処もいっぱい、駐車できる場所を探すだけで時間がかかり、疲れてしまいます。
近くに見所があっても地名もよく分からないしつい面倒にもなってしまいます。
もし、どうしてもレンタカーを使いたいと言う人が居るのならクルマをパラドールからパラドールへの移動手段のみに使うことをお勧めします。
確かに一般の国道や高速道路だけならば地図をよく見て、注意深く運転すれば迷うこともなく、快適なドライブを楽しめることでしょう。
そして、パラドールから近くの観光地にはタクシーやバス、徒歩の利用をお勧めしましょう。
特にスペインを個人で廻る旅行者ならば(出来るだけ節約したいと言う)バックパッカーでない限りタクシーの利用が快適です。
当然のことながら、道は良く知っているし、観光の見所にもチャンと連れていってくれます。その上、早い、安い、親切のどこかの牛丼屋みたいな乗り物です。
一般に流しやタクシー乗り場で乗った場合の目安とすれば、一応、10km、10分、
10€と思えばよいでしょうか? 実感からすれば日本の3分の1くらいです。
つまり、東京から熱海までタクシーに乗った感じで約100€位なもんですね、大きな荷物がなければ4人で乗って一人2000円から3000円位です。
モチロン高速料金もごく一部の道路を除いてかかりません。
パラドールから半日近辺の見所を廻って貰うときにはメーターでなく料金を交渉で決めることも出来ます。 この場合は行き先や時間で大体の料金は決まっていますからパラドールで頼めば良いでしょう。
レンタカーを借りる場合は国際免許証と日本で使用している免許証の二つが必要です。
それにJAFの会員証を持っている人はスペインの王立自動車クラブの路上サービスを受けることが出来ますから必ず携帯しましょう。

by“よっぴ”