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第29回 サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダ

はろはろ!こんにちは?!"よっぴ"の「パラドール紀行」です。
今日はサンティアゴへの道のフランス街道Camino Furancisにある町サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダのとっても素敵なパラドールを紹介しましょう。

第29回Santo Domingo de la Calzada
名称「Parador de Santo Domingo de la Calzada」サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダのパラドール

Santo Domingo de la Calzadaはサンティアゴに向かうフランス街道沿いの巡礼者達の町だ。 ログローニョから約50km、巡礼路には見渡すばかりの葡萄畑が続いている。
この長ーい名前のサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダとは、サンティアゴへの巡礼者のためにこの石畳の道(カルサダ)を整備し橋を架け、村に病院や宿を作った聖ドミニクス(スペイン名でドミンゴ)から来ている。
サンティアゴの巡礼路は全体が世界文化遺産として登録されているのでこの町も当然世界遺産なのですが、この巡礼路に12世紀に巡礼者のための宿、及び救護院として建てられた建物が現在のパラドールで国の文化財として指定されているのです。
1990年からの増改築では3年半の年月と7億円の経費がかかったそうです。 サロンは石組みのアーチ型の柱や壁が広い空間を生み出し、その美しさにはため息が出るほどで多くの旅行ガイドや雑誌に掲載されているのでご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

少し抑えめの照明とインテリアは当時のままの荘厳な雰囲気を残しています。
部屋も控えめなインテリアで、窓から見下ろす小さなサント広場を挟んですぐ目の前には国の重要文化財のカテドラル、バロック様式の鐘楼が隣接しており、部屋に居ながらにして歴史の重みに浸ることが出来るでしょう、勿論、洗面やバスなどの設備は超一級です。
パラドールの前の広場が狭く駐車するスペースが少ないので駐車場は地下に作られています。

  

パラドールのあるリオハ地方は世界でも名高いスペイン最大のワインの産地でもあります。
勿論レストランではリオハワインと新鮮な野菜を使った美味しいリオハの郷土料理がいつも用意されているのです。

  

このサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダのパラドールから800メートルほど離れた場所に2004年、この町二つ目のパラドールサント・ドミンゴ ベルナルド・デ・フレスネダ/SANTO DOMINGO BERNARDO DE FRESNEDAがオープンしました。
人気の高いパラドールはなかなか予約が取れないため改装・増築により部屋数を増やしていますが歴史的建物は敷地も狭く改装もできないので、近くの雰囲気のある歴史的建物を利用して宿泊客の増加に対応したものです。(同じコンセプトで建てられたものにサンテジャーナ・デル・マルの二つ目のパラドールがあります)
このフレスネダのパラドールは1595年にファン・デ・エレラが再建したサンフランシスコ修道院の中の宿泊所施設を改装したものです。(他に教会・アトリエ−美術館があります)
 カルサダのパラドールは4☆ですがこのフレスネダの方は3☆です。 
カルサダの予約が取れない場合、少し安く上げたい場合などに利用されるとイイと思います。
3☆でもパラドールの雰囲気はバッチリです。


☆ドミンゴの奇跡

サンティアゴへ向かう両親と息子の巡礼者がこのサント・ドミンゴに宿を取ったときのことです。
その宿の娘がこの巡礼の息子に一目惚れしてアプローチをかけます、しかし、この息子はその娘の誘いを断ります。
怒った娘は、その宿の大事な宝物である銀の食器を、その息子の荷物の中に隠し、宝が無くなったと騒ぎ立て役人を呼び、その息子の荷物を調べ犯人の濡れ衣を着せるのです。
裁判ではろくに取り調べもせずに、判事はその息子を絞首刑に処してしまいます。
サンティアゴの巡礼からの帰り道に両親は首を吊されたまま生きている息子に出会うのですが、絞首刑にされた息子が未だ生きていて「私は無実の罪で吊されたのを聖ドミニクス様が守って下さって生きております。判事に話して私を下ろして下さい。」と言うのです。

その話を聞いた判事は若鶏の丸焼きを食べながら「そんなバカな話があるか、それはまるでこの料理された鶏が生き返るようなものだ!」
そう言った途端、その料理された鶏は羽が生え生き返ったと言うのです。
この話に因んで大聖堂にはつがいの鶏が飼われているのです。


☆vinoワイン

ワインを作る良質の葡萄は何と言っても乾燥した地帯それも朝と夜との温度差が顕著なところに生育すると言いますが、このリオハ地方はその条件にぴったりの地なのです。
1870年頃、フランスのボルドーで害虫の為に葡萄が全滅したため、ボルドーのワイン業者がワイン作りの為の地を探し求めて辿り着いたのがこのリオハ地方でした。
もちろん、それまでもこの地方は優れたワインの産地ではありましたが、それに加えてフランス・ボルドー製法技術が導入されることになるのです。
世界一の製法技術と最良の耕作条件がリオハで一緒になったのですから、リオハのワインが美味しくないハズはありません。
リオハのワインはフランスの国境と平行して流れるエブロ川沿いで作られています。
因みに、イスラム教の聖地メッカでは気温が高すぎて葡萄の栽培に適していませんでした。
その為にイスラム教では禁酒となったと言われているのですが…。

ワインの 世界3大産地と言えば、フランス、イタリア、スペインですが、葡萄栽培面積の世界一は1200000(百二十万)ヘクタールのスペインです。
そして、輸出は800万ヘクタリッターをこえています

スペインではワインの品質の保持と改良のために、原産地呼称庁INDOという政府機関があり、原産地呼称DOによって保証される生産物の製造と品質に関して指導、監視、規制を行っています。
DOとは地方、地域、区域の地理上の名称で独自の品質と特徴をあらわしています。
具体的には葡萄畑、醸造所、生産等の登録を行い、ワインの醸造と品質の関する指導監督監視を行っているのです。
その原産地呼称の数は53もあり、特にリオハはスペイン最高のビンデージワインの生産地として最も有名でしょう。
長い年月を経たレゼルバ、そして特に選ばれた当たり年のワインを大切に熟成させたグランレゼルバはヨーロッパの最も偉大なワインの一つとされています。

ところで、ドコドコ産の何年モノはどの料理に合うとか赤は肉料理、白は魚料理とか、うるさく言うのはワインを生産していないイギリス人あるいは日本人?だそうです。 そう言えばスペインではパラドールでさえ、料理に構わず白でも赤でもロゼも地元のワインを飲んでいる人が多いようです。 一本の赤ワインのボトルが空いたら次は白にしようとかその時の気分で頼んでいます。 楽しくて美味しければ作法は関係ないのでしょう。

良くスペインでは水が悪いから水の変わりにワインを飲むとか子供でもワインを飲ませるとか言われていますが、食事のときにはワインと一緒に水も頼むことが多いし、子供はやはり水やジュースを飲んでいます。
リオハの他に少しDOを紹介しましょう。

Rias Baixasリアスバイシャス
フルーティでスペイン最高の白ワインとして有名です。

Cavaカバ
シャンパン製法で造られる国際的に知られたスパークリングワイン、はっとするような辛口や優雅な中辛口のカバは食前酒や食後酒として理想的です。

Ribera del Dueroリベラ・デル・ドゥエロ
優雅なビンテージの赤ワインで名高く現在最も注目されているワインです。

Sherryシェリー
葡萄酒から造られるものに食前酒として愛飲されているものにシェリー酒があるが、これはポルトガルとの国境近くのヘレス・デ・ラ・フロンテーラという町で造られています。
本当のシェリーはスペインでのみ造られるのです
と、言うよりもこの付近の土地で造られたものしかシェリーの名前を付けることができないのです。これはフランスのシャンパーニュ地方で生産されるものしかシャンペンの名前を付けられないのと一緒です。
シェリー酒の作り方は複雑で、古い葡萄酒に新しい葡萄酒を混ぜ合わせたり非常に手間がかかり、経験が必要だと言われます。
また、シェリー酒の樽にはアメリカのオーク材が使われるが、このシェリー酒を造った後の古い樽がスコッチウィスキー作りには欠かせないのです。
この古樽にウィスキーを寝かせることで、あの琥珀色が生まれるのだそうです。

by"よっぴ"