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第28回 サフラ

はろはろ!こんにちは〜!“よっぴ”の「パラドール紀行」です。
今日は前回に続きエストレマドゥラから素晴らしいアルカサル(宮殿)のパラドールを紹介しましょう。

第28回サフラZafra
名称Parador"Hernan Cortes ”エルナンコルテスのパラドール

エストレマドゥラの最古の町のひとつサフラは小セビージャと呼ばれ町全体が国の文化財に指定されています。 そしてこの白い町の入り口には9本の円塔を持つ堂々としたアルカサルが建っています。 15世紀にアラブの要塞跡にこの地Zafraの領主であるFeria公爵の一族によって建てられたアルカサルが現在のパラドールとなりました。

建物の内部はムデハル、バロックなど各時代の美術様式が競うように古城を彩っており、 15世紀中頃のゴシック・ムデハル様式の礼拝堂のあるサロン、有名な建築家の手によるルネッサンス様式の中庭など、贅沢な雰囲気に包まれています。
中でも圧巻は3階の元の建物を上手く生かしたパラドールのシンボルとも言える塔を利用して作られた部屋で、500年前のオリジナルの装飾をそのまま生かした重厚な部屋(天井がすごい)があります。

  
一番高い塔には当時のフレスコ画も残されています また15世紀中頃の天井が見事なゴシックムデハル様式の礼拝堂を装飾とした小サロン(ちょっとしたパーティー、会議に使える)は金色に輝いておりうっとりするほど美しい。
白い大理石で出来た中庭Patioはエル・エスコリアル修道院の設計で有名な建築家ファ・ンデ・エレーラJuan de Herreraの作品、ルネッサンス様式 のもので、この中庭のおかげで建物に光が射し込むようになったと言います。

この城が将来パラドールとなるのを暗示するかのようにFeria公爵家に招かれて各時代の有名人が此処を訪れています、メキシコを制服したエルナン・コルテスも新大陸へ出かける前にこちらに滞在しています。
そこからこのパラドールは"Parador de Hernan Cortes" と呼ばれているのです
このパラドールも一時、病院、軍の施設として使われていました。

サフラ (Zafra)は、スペイン、エストレマドゥーラ州、バダホス県にある都市ですが、町は案外小さく必要で在れば貸自転車もありますが、歩いてもすぐに回れてしまいます。
 隣接した二つの広場、Plaza Grande(大きい広場18世紀)とPlaza Chica(小さな広場16世紀)は調和がとれてとても素敵な雰囲気を醸し出しています。

  
サフラ近郊は最高級イベリカ種黒豚の産地として有名ですが、10月5日から1週間開かれるサン・ミゲルの縁日では大規模な家畜市が開催されます。 レストランではこの地方の特産黒豚(イベリカ種)から作られる高級生ハムや、その黒豚を育てる餌であるExtremadura地方のドングリを使った珍しいケーキ(Tarta de Bellota) を味わうこともできます。

☆生ハム

スペインの食べ物で世界的に有名な物と言えば生ハム(ハモン)jamon が思い浮かぶだろう。
イタリアのプロシュット、中国の金華火腿と並んで世界三大ハムのひとつといわれる。
加熱もスモークもせずに豚の太ももの部分を熟成させて作られる。
これを薄く削いで食べるハモンは豚の肉と塩味だけのまさに天然物だ。
バルでは何処でもこの豚の太ももを天井からぶら下げている。
ぶら下げられたハモンには逆さ傘が付いているが、これはハモンから滴り落ちる脂を受けるためのものだ。
パンにチーズと挟んでボカディージョにしても美味しいし料理の味付けにも使われる。

もちろん一口にハモンと言っても種類も沢山あるし値段もまちまちだ。
何処のバルでも食べられる白豚を熟成したごく普通の生ハムがjamon serrano だ。
「セラーノ」は「山の」という意味である。
イベリカ種の黒豚を使った高級生ハムが(ハモン・イベリコ)jamon iberico と呼ばれる(「イベリコ」とはスペイン語で、「イベリア半島の」という意味である)。 生産数はハモン・セラーノより非常に少なく、その飼育にも手間がかけられ、出荷されるまでの熟成期間も長いため、非常に高価でjamon serranoの倍以上の値段がする。 
小さなバルではなかなか置いてないがパラドールのレストランのメニューには必ずある。

よくイベリコ豚は餌にどんぐりや栗の実だけを使って育てられると言われるが、普通は大きく育てるために飼料を加えて育てられ、どんぐりを主体に育った豚の中で認可を得たものだけが「ハモン・イベリコ・デ・ベジョータ(jamon iberico や de bellota。bellota=どんぐり)」と名づけられ、味、品質とも最優秀品質とされる。
つまり、イベリコ豚のうちでもどんぐりの実だけを使って育てられるドングリ豚にのみベジョータ (Bellota)の表示がつけられるのである。
その中でも特に高価なのがアンダルシア州ウエルバ県南西部ハブーゴ(Jabugo)村産のjamon jabugoとされる。 まあ言うならば大間産の本マグロの大トロとみたいなモノでパラドールにもなかなか置いていない。
もちろん、大都市の高級レストランではびっくりするような値段が付いている。

jamon serranoも勿論美味しいがjamon ibericoのとろけるような脂ののったものは本当に美味しい、jamon iberico とjamon jabugoの差は???食べてみてわかるだろう。

日本でもスペインからの生ハムの輸入が解禁になったが輸入されているものはほとんど
jamon serranoだ。
スペイン旅行の際にはスペインでしか味わえないjamon iberico、jamon jabugo を是非試してみては如何でしょう?
イベリコ・ハムの霜降りになった良質の脂は オレイン酸やビタミンB郡を多量に含んでいるのでドロドロ血液をサラサラ血液にする働きがあるそうです。

それにしてもスペインのレコンキスタは食通にとって重要な出来事であったと思う。
もし、スペインがイスラム世界に支配されていたのならワインは勿論、スペインの生ハムを食べることが出来なかっただろう。
なぜならイスラム教徒はアルコールは勿論ダメだし、不浄な物として豚を食べてはいけないからだ。

by“よっぴ”