« 第48回 セゴビア | メイン | 第50回 ハランディージャ・デ・ラ・ベラ »

第49回 アビラ

はろはろ!こんにちは〜!"よっぴ"の「パラドール紀行」です。
今日は城壁で囲まれた中世そのままの街にあるアビラのパラドールを紹介しましょう。アビラ(Avila)はカスティーリャ・イ・レオン州アビラ県の県都で海抜1,117mの高さにあり、県都としてはもっとも標高が高く、首都マドリッドからは直線距離で西北西に約87km電車でもバスでも2時間足らずとマドリッドからの日帰りエクスカーションとして最適な観光地です。

第49回アビラAvila
Parador"Raimundo de Borgona"ボルゴーニャのライムンド(伯爵)

スペインではアビラは「城壁と聖人の町」と呼ばれていますが、アビラの特色を一言で言えば旧市街全体をぐるりと囲む城壁でしょう。
714年にイスラム教徒の占領下に置かれるが、1085年にカスティーリャ=レオン王アルフォンソ6世によって奪還される。アルフォンソ6世によって町が奪還された後、1090年から1099年の間にアルフォンソ6世の娘婿のライムンド伯爵が回教徒からの攻撃に備えて築いたもので周囲2500m、幅3m、平均の高さは12m、そして90もの塔と9つの城門を備えています。
城壁に囲まれた旧市街は中世都市そのままの姿を残している。
付け加えて言うならば、至るところに駐車しているクルマが何とも目障りですが…。
 もう一つの「聖人」とはアビラで生まれ育った「聖テレサ」のことで、カルメル修道会の改革を進め、「裸足カルメル会」を設立したカトリック最大の神秘家の一人と言われています。アビラ名物の卵黄と砂糖を使ったボール状のお菓子の名前が「イェマス・デ・サンタ・テレサ」です。

アビラは「アビラ旧市街と市壁外の教会群」として、1985年に世界遺産に登録されている。

※画像をクリックすれば、拡大画像を見ることが出来ます
城内の中心地ビクトリア広場の北、カルメンの門の近くの旧ピエドラス・アルバス邸がアビラのパラドールだ。 白い石壁をくぐり石段を数段登るとレセプションがある。 さほど広くはないが落ち着いた暖炉のあるサロンとガラス戸に囲まれた小さな中庭が見える。 中庭は石で敷き詰めてあるが、大きな松が一本のびて廻りには観葉植物の鉢が多数置かれている。 回廊のガラス戸は木製で出来ており、一見日本家屋の庭のようだ。
隣接する公園に出てパラドールの客室を臨むと、これまた木製のバルコニーがまるで日本の温泉宿のような感じがする。
レストランも木の温もりと赤のモダンなシャンデリア、窓から見える庭の木々、このバランスの取れた素晴らしいインテリアは一見の価値がある。 料理は勿論名物アビラ牛だろう。
部屋のインテリアも大人しく、バルも洒落ている。
アビラの城壁を一望するならば城壁の西側プエンテ門から歩いて15分、アダハ川を渡った国道501号線沿いのクアトロ・ポステスが良いでしょう。
四本の柱に十字架が囲まれた古代の遺跡のような小さな建造物だが、アビラの城壁の連なりと柱の作る影が美しい。


☆ 世界遺産
このパラドール紀行にも良く世界遺産という言葉が出てきますが、この(ユネスコ)世界遺産とは1972年にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)総会で成立した「世界の文化遺産、及び自然遺産の保護に関する条約」すなわち「世界遺産条約」に基づいて世界遺産リストに登録された地球全人類の宝物のことで、将来に渡って守り続けることを目的としています。
スペインには野生動物と自然保護のためのスペイン最大、ドニャーナ国立公園と、第三紀の森林と貴重な固有種を持つカナリア諸島のゴメラ島ガラホナイ国立公園の二つの自然遺産、歴史と生物圏相違のイビサ島とピレネー山脈とペルディード山地方の二つの自然文化複合遺産、そして三十カ所を越える文化歴史遺産がありますが、そのほとんどの場所には文化歴史遺産そのものとしてのパラドール、或いはその文化遺産を楽しむ為のパラドールが設置されています。
もとより、世界遺産は観光を目的としているモノではありませんが、有数の観光王国のスペインに於いては自然との調和を保ちつつ、世界遺産の保護としての面と、多くの旅行者を楽しませる為の観光資源としての面を両立させることに成功したモノがパラドールと言えるでしょう。

スペインでの世界文化遺産を列記すると
1 1984年コルドバ歴史地区
2 1984年グラナダのアルハンブラ、他
3 1984年ブルゴス大聖堂
4 1984年エル・エルコリアルの修道院と遺跡
5 1984年アントニ・ガウディの作品群
6 1985年アルタミラ洞窟
7 1985年セゴビア旧市街と水道橋
8 1985年オビエドとアストゥリアス王国の建造物群
9 1985年サンティアゴ・デ・コンポステーラ旧市街
10 1985年アビラ旧市街と市壁外の教会郡
11 1986年アラゴンのムデハル建築
12 1986年古都トレド
13 1986年カセレス旧市街
14 1986年自然遺産 ガラホナイ国立公園
15 1987年セビリアの大聖堂、その他
16 1988年サマランカの旧市街
17 1991年ポブレー修道院、
18 1993年メリダの考古遺産群
19 1993年サンタマリア・デ・グアダルーペ王立修道院
20 1993年サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路
21 1994年自然遺産 ドニャーナ国立公園
22 1996年クエンカの歴史的城壁都市
23 1996年バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダ
24 1997年ラス・メドゥラス
25 1997年カタルーニャ音楽堂とサン・パウロ病院
26 1997年サン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院
27 1997年複合遺産 ピレネー山脈のペルデュ山
28 1998年アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区
29 1998年イベリア半島の地中海沿岸の岩絵
30 1999年サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ
31 1999年 バレアレス諸島 複合遺産 イビサの生物多様性と文化
32 2000年タラゴナの考古遺産群
33 2000年エルチェの椰子園
34 2000年ルーゴのローマ城壁
35 2000年バル・デ・ボイのカタルーニャ・ロマネスク様式教会群
36 2000年アタプエルカの考古遺跡
37 2001年アランフエスの文化的景観
38 2003年ウベダとバエサのルネサンス建築物
39 2006年ビスカヤ橋
40 2007年 カナリア諸島 自然遺産 テイデ国立公園
41 2009年 ヘラクレスの塔
41 2010年コア渓谷とシエガベルデの先史時代の岩絵遺跡群
43 2011年トラムンタナ山脈の文化的景観
44 2012年文化遺産 水銀遺産 アルマデンとイドリア

by“よっぴ”