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第33回 アラルコン

はろはろ!こんにちは?!"よっぴ"の「パラドール紀行」です。
今日はラ・マンチャの大平原に建つ美しい城をパラドールにしたアラルコンを紹介しましょう。
このパラドールは全パラドールで最も規模の小さいパラドールですが、マドリッドからも近く、非常に人気のあるパラドールです。

第33回アラルコンAlarcon
名称Parador“Marques de Villena”ビジェーナ伯爵のパラドール

アラルコンの村の名はかつて当地を支配していた西ゴート族の王アラリックの子がこの町を築いたことから名付けられたらしいです。 パラドールの愛称となっているVillenaビジェーナ伯爵は15世紀の城塞の所有者の名前からきています。

アラルコンのパラドールは日本人旅行者にとって非常に宿泊するのが困難なパラドールだと言えるでしょう。それには二つの理由があります。

一つは地理的に大きな町から離れていてタクシーの利用かレンタカーを借りる必要があるからであり、もう一つはこのパラドールには部屋が13しかないことです。
つまり最大で26人しか泊まれないので少なくとも半年前には予約をして欲しいとのことです。
しかし、この二つをクリアー出来れば是非とも泊まってみたいパラドールの一つでしょう。

アラルコンのパラドールは8世紀イスラム教徒がいくつか手がけたもののひとつです。
この古城は周囲を流れるフカル川沿いの高台に建てられていて、ここからは,美しい教会や,歴史的な建物など,アラルコンの町並みが、そして3km先のアラルコン・ダムの湖が一望できます。

メインのサロンには,タペストリー、甲冑,暖炉と木でできた、3つの聖櫃がおかれて、中世の雰囲気を盛り上げています。

コメドール(食堂)にはモルタルの壁掛けランプがいっぱいに飾られており、またレコンキスタの時代に指揮した貴族の旗など,歴史を顧みる機会もあります。

客室はパティオに面して4室の2層、タワーには各階一室の5室の全部で13室です。
全て内装の違う客室はパラドールに(取材当時)たった5人しかいない女性ディレクターによるもので、確かに、このパラドールでは歴史的重みがありながら、女性らしくかわいらしい雰囲気も漂っていました。

このタワー側の5部屋に限りエレベータが利用でき、いつでも城郭の屋上に登ることが出来る特権が付いています。 5階から更に狭い螺旋階段を上り詰めると其処は360度ラ・マンチャの大平原が広がっています。 中庭に面した部屋にも屋上がありますが通常は鍵がかかっていて入れません、しかし宿泊客が希望すればディレクター自らが鍵を持って案内をしてくれるとのことでした。
アラルコンは村の中心のマヨール広場でさえ人影がない過疎の村です。 それなのにこの古城のパラドール前の駐車場はいつでも車でいっぱいなのです。(レストランでの食事でさえ予約がないと相当待たされる覚悟が必要です。) この中世のお城のサロンにたたずみ、パティオを鑑賞し、ラ・マンチャの雄大な景色を眺めながらの食事は余程魅力に満ちているのでしょう。平均で、平日ですら60人、週末になると90から100人、年間3万人もの人が訪れるといいます。

とにかくこのパラドールに泊まることが出来たのなら、朝食の後、この城を取り巻く壁沿いに散歩をすることをお勧めします。とにかく気持ちがいいです。


☆アラルコン

アラルコンの村は過疎の村です。これだけの城塞が築かれているのですから、かつては相当重要な拠点だったと思われます。しかし、現在はパラドール以外にはバルが1軒あるだけで老人が僅かばかり住んでいるだけだという。 しかしながらその中で特筆すべきものがあります。 それは、この小さな城塞都市にある4つの教会です。 この4つの教会(16世紀)はどの教会も必見の価値があると思います。

先ず第一はサント、ドミンゴ(Santo Domingo)教会です。
内部で絵の展示会が定期的に行われるように改装されており、教会というよりは、現代的な美術館のようになっています。
天井がガラス張りになっていたり、石壁の間からツルが伸びていたりと、光と植物を上手に取り入れています。
聖マリアが残したという詩があり、文字と絵と楽譜が、その詩の中に当て字のように組み合わされています。

第二はサンタ・マリア(Santa Maria)教会です。
小さいながら教会内部は素晴らしい。祈りをささげる場では、他の教会のように聖マリアの生まれてから天に登るまでの何場面かが刻まれ、色彩も鮮やかです。
中央から前後左右を見ると、対照的なつくりになっていることがわかります。
何本かの柱には、途中で分かれ目があり、そこから下は「地」上は「天」を示しており、
天井には丸い模様があり、星を表していて、中央の4本の柱は「フィフスエレメント」である水、風、土 日を現しているとのことでした。

第三はサン、フアン(San Juan)教会です。
ヨーロッパでは2つ、世界でも2つの、外観はアンティークでいて、内部はすべて現代的な絵が描かれてた教会です。
まるでミロかピカソの絵が教会の内壁いっぱいに描かれているのに驚かされるでしょう。
地元の画家がたった1人で描いているのですが、5年の歳月を費やしているがいまだに完成していないのです。
文化協会ユネスコが中心スポンサーとなりこのプロジェクトを進めていて、アラルコンでは、一時期この教会だけが残されて他の3つは、閉鎖されたといいます。

  

最後の小さい教会はファサード正面だけ残されて、後ろは薬局店となっているユニークなものです。 この小さい町に4つも教会があるのは、それぞれが、すばらしい特徴を持ち、どれも残しておきたかったからだといいます。 通常は入れないのですが要望があれば牧師サンみずから案内してくれるとのことでした。

by"よっぴ"