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2013年04月28日

第37回 ビエルサ

はろはろ!こんにちは?!"よっぴ"の「パラドール紀行」です。
今日はピレネー地方、三つ目のパラドール、ビエルサです。
過疎の村ビエルサから尚山道を15kmも登った、そこは全く人里から離れた山岳地方ですが、そんな所にも素晴らしい山小屋のパラドールがあるのです。
山好き、トレッキング好きには、もうたまらないパラドールでしょう。

第37回ビエルサBielsa
名称「Parador"Monte Perdido"」ペルディド山のParador


このパラドールは、オルデサ・ペルディド山国立公園(PARQUE NACIONAL DE ORDESA Y MONTE PERDIDO)の中にあり、名称になっているペルディド山はパラドールの裏手にある山のことです。 ピレネーの山奥の小さな村ビエルサから尚15kmシンカ川に沿って山道を登るとオルデサ国立公園の入り口に、こじんまりとした山小屋風のパラドールに行き着きます。
緑深い林と清流、それに覆い被さるような雪に化粧をほどこされたピレネーの雄大な山並みの組み合わせはまるで日本の上高地を思い出させます。
隣り合ったサンタ・マリア教会がスペインに居ることを思い起こしてくれます。
石造り、黒のスレート葺きの4階建てパラドールは外観こそ派手さはありませんが内部の設備はさすがパラドールとして充実しています。 自然の雰囲気を大切にして内装はほとんどが木材を使った暖かい感じのインテリアに仕上げていて、山奥にありながらもバスルームも広く室内の空調設備も整っています。
窓は少し小さめで保温のために二重窓になっています、窓を開ければピレネーの峰々とシンカ川が眺められ、冷たい澄んだ空気が頬に実に気持ちがいいのです。
川の向こう岸には町営のキャンプ場もあり夏場はキャンプやバーベキューを楽しむ人たちでいっぱいになるといいます。

山登りの基地としては勿論、釣り、ハイキング、バードウォッチングと自然の遊びで時間を持て余すことはないでしょう。

1階のサロンでは付近のトレッキングコースを詳しく記した地図や道具、お土産等の売店があります。

それにパソコンによる様々なアクティビティーの検索や紹介がなされていて、その画面を追いながらコースを検討することもできように工夫されています。
そしてレストランでの夕食には虹鱒料理をどうぞ。

ビエルサは小さな村でタクシーが常駐していないため、アインサから45km、約1時間程タクシーで登ってこなくてはなりません。タクシー代の安いスペインでも40〜50Eu程度かかります。しかし素晴らしい山岳ドライブと自然に包まれたパラドールでの宿泊がかなうのですから二人だったらホントに僅かな金額で済みますし行く値打ちは十分にあるでしょう。

  

☆ アインサ

ビエルサのパラドールに行く機会がありましたら、是非とも、11世紀にはアラゴンの小さな王国の首都であり、今なお城壁を残す町アインサを訪ねてみては如何でしょうか?
シンカ川とアラ川の合流地点アインサは今なお城壁の残る美しい町です。
アインサの台地からは、この合流した川が作る二つの人造湖メディアーノ湖とエル・グラド湖の壮大な景色が輝いて見えます。

城壁に登ると、直ぐ真下には美しいロマネスク様式の教会が聳えるマヨール広場を中心に、今なお中世の都市の雰囲気を残す町が広がっているのです。

旧市街をゆっくり歩いて、小さな博物館を見ても二時間程度ののんびりとした小さな町ですが中世の街並みをゆっくり楽しめることでしょう。

by"よっぴ"

第36回 アルティエス

はろはろ!こんにちは?!"よっぴ"の「パラドール紀行」です。
今日はピレネー地方のパラドールの二つ目アルティエスです。
このパラドールはアラン渓谷にあり、前回のビエリャのパラドールとは、たった7kmしか離れていませんが、雰囲気は全く異なるパラドールです。

第36回アルティエスArties
名称「Parador"Don Gaspar de Portola"」ガスパール・デ・ポルトラ侯爵のパラドール

アルティエスの町はピレネー山脈に囲まれたアラン渓谷の山懐にある、まるでスイスにいるような感じにさせる小さなかわいい町です。

このパラドールの名称のガスパール・デ・ポルトラ侯爵とはカルフォルニアの発見者であり初代のサンフランシスコの知事で、このパラドールは彼の老後の余生を過ごした館なのです。

建物はうす茶色の石壁と積雪を防ぐための黒のスレート葺き急勾配の屋根をもつこの地方特有の建築様式で建てられています。
内部はふんだんに木材が使われていて、落ち着きと明るさが感じられるシックなインテリアで統一されています。

部屋は防寒のためか窓は小さめですが急勾配の屋根を利用した板張りの天井や天窓などなかなかお洒落な感じに仕上がっています。
部屋にはスキー客のために荷物置き場も広くスペースを取ってあり乾燥室もついています。

レストランも床、壁、天井とも板張りでいかにもリゾート山小屋風ホテルです。
大きな瓶(カメ)に入って出てくるアラン風シチューや虹鱒の鉄板焼きなどが特に美味しい。

アルティエスは小さな町ですが国の重要文化財のサラルドゥー教会を始め多くのロマネスク教会が点在しており散歩するのにうってつけの町です。


☆トレッキング

スペインは山岳の国であり、海にも囲まれた国であり、島もあり、様々な自然が混じり合った国で、どの地方でも自然を利用したアクティビティが盛んに行われています。
その中でも特にピレネー地方はトレッキングの名所と言っても良いでしょう。
もちろん、冬はスキー、夏には避暑地のメッカではありますが、美しい緑と水と空気に恵まれたこの地方には初心者から健脚まで、多くのトレッキングコースが作られ、案内所やコースの整備も驚くほど整っていて安心してトレッキングを楽しむことができます。
ロマネスク教会の点在する村々を訪ねてもいいし、途中で温泉地に立ち寄るのもいいでしょう。
長いコースや山岳ルートは、もちろんそれなりに準備が必要ですし、技術も必要ですが、一般ルートはコースのすぐ側までクルマが入れるようになっていたり、基地となる町には4駆のレンタカーが用意されています。
もちろんこれらの手配はパラドールで頼めますし、パラドール自体でも沢山のアクティビティを用意して一般の宿泊客を楽しませるように努めています。
多少言葉では不便なこともあるかもしれませんが、他の宿泊客と一緒にハイキングを楽しむ、こういう経験も如何でしょうか?

by"よっぴ"

2013年04月22日

第35回 ビエリャ

はろはろ!こんにちは?!"よっぴ"の「パラドール紀行」です。
今回から連続してピレネー山脈にある3つのパラドールを紹介しましょう。
スペイン北東部のこの地方はスレート葺きの屋根をもつ石造りの家の集落が多くあり、スキー場、温泉場、たくさんのハイキングコースと自然の美しさが溢れています。
トレッキングの途中で出会う羊飼いに追われる羊達の群、ロマネスクの教会のある小さな村、どれもスペインのもう一つの顔を見せてくれることでしょう。

第35回ビエリャVielha
名称「Parador"Valle de Aran"アラン渓谷のパラドール

ビエリャは名称にあるとおりアラン渓谷の中心の町です。
町中は夏の避暑客や冬のスキー客のためのレストランやショッピングの店が立ち並びなかなかの賑わいを見せています。

パラドールはその町からクルマで5分ほど登った山の中にあります。




このパラドールのバルコニーから町を見下ろすとピレネー山脈の白い雪と木々の緑それに建物の黒のスレート葺きの屋根の対比がとても美しく見えます。

このビエリャのパラドールはアルティエスのパラドールとたった7kmしか離れていません。
そう、この2つのパラドールはまるで兄妹のようなパラドールなのです。
ディレクターも両方のパラドールを掛け持ち、コックさんも両方のパラドールを行ったり来たりするそうです、ただ両方のパラドールのメニューは変えているそうですが…。
女性的な柔らかい温もりを感じさせるアルティエスのパラドールに対して、兄であるこのビエリャのパラドールは円錐型の屋根をもつ展望サロンを始め大きく堂々とした建物を誇っています。

  

このパラドールの最大の特徴である広い展望サロンは二層から成り上階はガラス張りの窓から明るいアラン渓谷とピレネーの山並みを眺める展望サロン、下は落ち着いたバルをもつサロンと2つの異なった雰囲気を楽しむことができます。
いずれのサロンとも中央に暖炉がおかれ、それを取り囲むようにソファが置かれています。

  

このパラドールではトレッキングを始め、マウンテンバイク、動物の写真撮影、カヌーやロマネスクの教会巡り、ハーブティ摘みなど様々なアクティビティのプログラムを用意しているのでそれに参加するのも良いでしょう。
勿論、アルティエスに宿泊してもこれらのアクティビティに参加できます。

ピレネー山脈の北斜面に位置するアラン渓谷Valle de Aranは交通が不便なゆえ発展が遅れ、近年リゾート開発が盛んになってきてはいますが、美しい風景と、39か村のどこでも大きなスレート屋根の家並がロンバルディア風ロマネスク様式の教会のまわりに集まり、緑の草原の中に青い斑点のような点在していて「スペインのスイス」と呼ばれています。

またマラデータ山地を挟んだ反対側のノゲラ・ダル・トール渓谷はピレネー山脈で最も美しいロマネスク様式の教会がいくつかあります。
その中でもタウルTaullは12世紀頃建立されたサンタ・マリア教会とすらりとした六層の鐘楼をもつサン・クリメント教会があります。 教会の重要性もさることながら内部に描かれたフレスコ画はスペイン・ロマネスク芸術の至宝と言われています。
そのためサンタ・マリア教会の聖母子像、サン・クリメント教会のキリスト像のオリジナルはバルセロナのカタールニャ美術館に収蔵・展示されており、現在、教会にあるのはレプリカですが雰囲気は残されています。

by“よっぴ”
 

2013年04月14日

第34回 エル・イエロ

はろはろ!こんにちは〜!“よっぴ”の「パラドール紀行」です。
今回は南国の楽園、あこがれのカナリア諸島の小島「エル・イエロ」のパラドールを紹介しましょう。

第34回エル・イエロ El Hierro
名称Parador de El Hierro

カナリア諸島はローマ時代には「博物誌の」プリニウスによって「幸福群島」と名付けられました。スペイン人による遠征隊が組織されたのが15世紀始めで15世紀末には征服されてスペイン領になりました。
このエル・イエロの島はカナリア諸島の主要7島の中では最も小さくて(278平方km)、最も人口が少なく9500人しか住んでいない小島です。
それでも伊豆大島の3倍ほどの広さがあります。

マドリッドから直行の便はなく、同じカナリア諸島の観光の中心地テネリフェ島やグランカナリア島からプロペラ機に乗り換え、空路で約40〜50分、船だと4時間かかります。
(たぶんまだ直行便はないと思うのですが…。)



さすがにこれだけ乗り継いで来ると地の果てに来たのかなあ?っと感じられます。
そう、このイエロ島はカナリア諸島の中でも一番西側にあり、つまりヨーロッパで一番西に位置するということで、一世紀前まではここが経度0度地点とされていました。
この島の中心地バルベルデの町は海岸沿いではなく空港からパラドールとは反対方向の標高600mの崖の上にあって約島民の半数が住んでいます。
空港からタクシーで15分程パラドール専用に作られた道を走り、900mもの長いトンネルを抜けると海沿いに建つパラドールが見えてきます。

断崖絶壁の岩山を背後にして、海岸線に沿って僅かの浜辺にへばりつくように建っている風光明媚が売り物の美しいリゾートホテルがイエロのパラドールです。
その海に間近というロケーションの為、近年の大波で水を被り、多額の費用をかけて、全面改装され2000年の12月に再オープンしました。

以前と大きく変わった点とすれば、この大波の被害を避けるために海に面して高い防波堤の石壁が城壁のように囲んでいることでしょう。 それでも大波の時には一階部分にあるプールのチェアが波に浚われてしまうそうです。

白壁に木製のバルコニーが海岸に向かって並び、広くて明るいコロニアル風内装の部屋や
熱帯植物に囲まれた庭園にプールとリラクゼーションには最適のパラドールでしょう。
この遠い島に来る人たちはドイツ人、英国人、その次にスペイン人、大抵1週間は滞在するので、フィットネスのジムやサウナ、ミストサウナ、卓球台まで用意されているのです。




  

訪れた三月にはマドリードでは寒さに震えていたのに、ここ常夏のカナリアでは半袖のTシャツに短パン姿でも寒くなく、パラドールのプールでは泳いでいる人も居ます。
この火山と楽園の島、自然の中に建つパラドールでは何もしなくてもよいのですが、自然のアクティビティーを楽しむのにも絶好です。
遊覧船にトレッキング、海水浴やダイビングは勿論、釣りやパラグライダー、マウンテンバイクまで楽しむことができます。
カナリア諸島はダイビングで有名なところですが、特にこのイエロ島はヨーロッパ中でも最高のダイビングスポットとされています。
港にはダイバー達のボートやショップも充実しており、毎年大勢のダイバーが訪れフォトコンテストも開かれます。



この美しい島巡りにはタクシーが一番です。 この島にはタクシーがとても多くて空港には沢山のタクシーが待っていますし、パラドールでもスグに呼んで貰えます。
島の随所にある展望台から眺める真っ青の海と切り立った絶壁。遠くに見えるテネリフェ島やパルマ島、誰でも自由に入って食べて良い村長のいちじく畑。4部屋しかない世界一小さいと言われる岬の先端に建つホテルなどもあり1日のんびりとドライブを楽しんで150EU位です。
  

そして心地よい疲れで戻ったパラドールにはくつろげる快適な部屋と海の幸がふんだんの美味しい食事が待っているのです。

カナリア諸島は火山活動が活発な地域でエル・イエロ島では2011年の夏から群発地震が起きて一時パラドールへのトンネルも閉鎖されたようですが、現在(2013年4月)は地震活動も沈静化されてパラドールも通常通りの営業されています。


☆カナリア諸島 島巡り

スペインに行っても、カナリア諸島まで足を延ばす旅行者はあまり居ないでしょうが、せっかく行くのなら島巡りをしては如何でしょうか?
このカナリア諸島の七つの島はどれも個性があって素晴らしい島巡りができます。
「フエルテベントゥラ島」は面積1688平方km(沖縄本島が1185平方km)。カナリア諸島で2番目に大きく土地は乾燥していてほとんど砂漠と言っていい島ですが、海岸は白い砂と岩の広大なビーチがが続き、ダイビングには最適な島です。
「グラン・カナリア島」は面積1532平方km、3番目に大きな島ですが、もっとも開けた町で人口も一番多い島です。北部は肥沃な土地でバナナを中心とした農業の盛んな島で、国外の漁業会社も多く漁業も盛んです。
「ランサロテ」は面積813平方km(佐渡島位)。とても特徴のある島で、溶岩台地に100にも及ぶ噴火口が散在しているのですが、海のリゾート地としても人気があり、ティマンファヤ国立公園に指定されています。
因みにスペインには9つの国立公園があり、そのうち実に4つまでがこのカナリア諸島にあるのです。(あとはゴメラ、テネリフェ、パルマでゴメラは世界遺産にも指定されています)
島内の観光はレンタカーかタクシーとなりますが、観光と言うよりもホテルやパラドールで俗世間のことは忘れてゆっくりとした時間の流れに身を置いて…といった旅が似合う場所です。
何と言っても「幸福群島」ですから…。

参考コース
第1日目
マドリッド→テネリフェ(フェリー)→ゴメラ(泊)
第2日目
ゴメラ→テネリフェ(2泊)
第4日目
テネリフェ→ランサロテ(2泊)
第6日目
ランサロテ(フェリー)→フエルテベントゥラ(2泊)
第8日目
フエルテベントゥラ→グラン・カナリア(2泊)
第10日目
グランカナリア→ラ・パルマ(2泊)
第12日目
ラ・パルマ→マドリッド
これに前後のマドリッドの宿泊を加えれば最低2週間。
マドリッドの周辺の観光や、ゆったりした旅を望むならあと1週間は欲しいコースですが…。

トッピングは特にありませんが、パラドールはやはりお勧めです。
特に「ゴメラ」は他のホテルでは絶対に味わえない貴族の館の雰囲気が味わえますし、テネリフェ島のティデのパラドールでは2千メートルを越す高地での星空が見事です。
それぞれの島にはハイキングコースもありますので、ダイビングなどの海のリゾートはもちろんですが、歩くのが好きな方は山のトレッキングも楽しめます。

by“よっぴ”